世界中の全てのお茶はその歴史をたどると中国雲南省へたどり着きます。その国土と歴史に比例するように、中国茶の世界は限りなく広く、深いものです。また、用いる道具や淹れ方にも独特の工夫がなされてきました。
目で、鼻で、舌で…五感を総動員して味わうのが中国茶です。そのような中国茶をご家庭でも簡単に味わえる基本的な淹れ方をご紹介します。

【茶葉と温度の関係】

・１人分平均150mlを目安にしています。
・一度に淹れるか数回に分けるかは茶器によって異なります。
※洗茶とは…茶壷（急須）を温めた後、茶葉を入れて熱湯を注いでから捨てる工程。

●茶壷（チャフウ）で淹れる

茶壷（チャフウ）は日本でいう急須のこと。
陶器の茶壷は吸水性と吸香性があり、保温性が高いため、高い温度で淹れる青茶や黒茶などの発酵度の高いお茶に適しています。
磁器の茶壷は臭いや味が染み込むことがないので、どんなお茶にも対応できます。

（1）
茶壷・茶海・聞香杯と茶杯に湯を注ぎ温め、湯を捨てます。

（2）
茶葉を茶壷に入れ、熱湯を注ぎます。
黒茶の場合はすぐにお湯を捨て（洗茶）、再び熱湯を注ぎます。

（3）
フタをして上からお湯をかけ、1～2分蒸らします。

（4）
茶海に注ぎ入れ、お茶を出しきります。

（5）
茶海から聞香杯にお茶を注ぎます。

（6）
聞香杯から茶杯に移し、聞香杯で香りを楽しみ、茶杯でお茶を飲みます。
※聞香杯を使用せず、茶杯のみ使用する場合もあります。

●蓋碗（ガイワン）で淹れる

蓋碗（ガイワン）は釉薬のかかった陶磁器製の茶碗・蓋・受け皿が１組になった茶器。温度調整がしやすく、どの茶葉にも使えて便利です。
茶葉の姿を見て楽しむのにすぐれ、大型の茶葉の出し入れも容易です。
急須のように使う場合と、湯飲みとして使う場合があります。

（1）
温めておいた蓋碗に茶葉を入れます。

（2）
お湯を注ぎ、フタをして、2～3分蒸らします。

（3）
フタをずらしてすき間をつくり、お茶を茶海に出しきります。
※蓋碗のフタをずらして、直接飲むこともできます。

（4）
茶杯に注ぎ、お茶を飲みます。

●耐熱グラスで淹れる

簡単で一般的な淹れ方です。透明なグラスを使用する事で中の茶葉の様子を鑑賞できる利点があります。
高級緑茶や芽だけで作られたお茶、工芸茶や乾燥した花等に適しています。
湯を注いだ後の茶葉の見た目を重視した淹れ方といえます。

（1）
温めたグラスに茶葉を入れ、はじめに5分目ほど湯を注ぎ、茶葉をなじませたら、さらに湯を注ぎます。

（2）
グラスにフタをして蒸らします。
飲む時に茶葉が浮いているようなら、息を吹きかけて、茶葉を向こうへ押しやりながら、いただきます。

●三件濾網高杯（茶こし付きのマグカップ）で淹れる

三件濾網高杯（サンケンロモウコウハイ）とは、蓋と茶漉しがついた、気軽に一人分のお茶を淹れることができるマグカップ。
お茶が入ったら、茶漉しを取り外す事で湯に茶葉が浸った状態が続く事なく、２煎目以降もおいしくお茶を飲むことができます。最も手軽な方法です。

（1）
マグカップは温めておき、茶葉を適量、茶漉しの中に入れます。

（2）
マグカップに茶漉しをセットし、お湯を注ぎます。

（3）
フタをして2～3分蒸らします。

（4）
フタを外して裏返しに置き、茶漉しをその上に乗せて、マグカップで直接お茶を愉しみます。

手軽な器で中国茶を愉しみましょう！
ここで紹介しているお茶の淹れ方はあくまで目安です。お好みに合わせて少しづつ変えていくことでおいしいお茶の世界が広がります。
自分好みの中国茶を見つけて愉しんでください。